青の祓魔師 藤堂三郎太の話はいちいち核心をついている。

「――うん 残念」

「君まだ正直じゃないな」

(中略)

「私は正直になって 自由に人生を楽しむ君と

再会したかったんだよ」

(中略) 

「奥村君   君も正直になればきっと判るよ」

 

第24巻 第111話「SsC40:00b」より。

 

藤堂と雪男の会話から、

自己分析とメンタルヘルスについて考える記事。

もはやマンガの感想なのかどうかわからないけど(汗)

 

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藤堂三郎太は、京都の祓魔師養成学校、祓魔塾の先生で、

第16話(第5巻)で初登場したときの肩書は

「最深部 部長」階級は「上二級」

 

藤堂家は代々祓魔師を輩出する名家だが、

三郎太は立派すぎる親戚たちへの劣等感から

極端な方向へ振り切れてしまい悪魔落ち。

以降、イルミナティに所属し、

ルシフェルを総帥と仰ぎ、狂信的に仕える。

 

雪男と自分の境遇が似ていると感じているらしく、

何かと雪男をイルミナティに勧誘する。

 

 

藤堂三郎太が雪男にかける言葉の目的は、

雪男を動揺させて、自分のほうに引き入れることだから、

まともに考えるのは危険なんだけど、

 

だからこそというか、

言ってることは割と核心をついてるし、

雪男みたいにメンタル病みやすそうな人にとっては

大事なこと言ってる気がする。

 藤堂「君を見ているとまるで 

   昔の自分を見ているようだね

   気づけば生まれた時から運命のレールの上を走らされ

   長年の疑問を口にする事もできず

   犬のように組織の・・・

   ・・・一族のために働いてきた」

  「父のように 兄のようになりたかった

   ・・・だがそうやって生きてきた私に残ったものは何だ」

  「・・・無だよ

   だから私はこの気持ちを認めてしまうことにしたんだ

   父を・・・兄を・・・組織を・・・

   ・・・この世界全てを

   憎んでいるという事を・・・・・・!!」

  「そしたらどうだ

   一旦認めてしまえば こんなにも素晴らしい

   私に欠けていたピースが埋まったかのようだ」

雪男「貴方が弱く 悪魔の誘惑に負けたというだけの話だ」

藤堂「弱さは誰の心にもあるものだ

   それを認めるのは怖いかな?」

 

第5巻 第16話「事の始まり」より。

このあたりから不浄王編が始まるわけだけど、

雪男の闇がだんだんわかってくるのも

このあたりから。

(後で考えると第2話の時点でかなりおかしいことがわかるんだけど)

 

そしてサタンが初めて雪男に干渉してくる8巻。

「和やかな世間話から始めようじゃないか」

「そうだなあ お兄さん元気ィ?」

 

第8巻 第28話「紅蓮」より。

物語の中で、燐が処刑されるかどうかみたいな話題があった後なので、

和やかじゃないし、いきなり答えづらい質問。

「おやぁ 顔色が変わったね」

「どうしたんだい お兄さんに何かあったのかな?」

 

「フフフ 君には親近感を持っているんだ

寝ても覚めても家族に縛られているんだろう?」

「判るよ・・・私も昔はそうだったからね」

 

第8巻 第28話「紅蓮」より。

このあたりまでは、雪男って燐のこと大切にしてて、

だからこそなんだろうけど、

心配しすぎだなー

ってまあ、それぐらいに考えてた。

藤堂「話を元に戻そう 君 趣味はあるかい?」

雪男「・・・は!?」

藤堂「夢でもいいよ」

 

第8巻 第28話「紅蓮」より。

趣味なさそう。(あったらゴメンだけど)

祓魔師は仕事だし。

雪男はまだ15歳だし、家族も兄(燐)だけだから、

人間関係がほとんど祓魔師関係しかないっていうのは

仕方ないことだけど、

趣味があったり、昼間の学校に友達いたりしたら

また違ったんだろうなあ。

藤堂「君の人生は お養父さんのモノマネだ」

  「しかし君を導いてきたお養父さんは死んでしまった」

  「君にはもうお兄さんしか残っていない」

  「これでお兄さんがいなくなってしまったら

   君には何が残るんだろうね」

雪男「黙れッ」

藤堂「お兄さんを守るのも お養父さんとの約束だろう」

  「君の人生はお養父さんの敷いた

   レールの上をひた走る人生だ」

 

第8巻 第28話「紅蓮」より。

別にモノマネでも、レールの上の人生でも

支えが兄しかいなくても

自分で決めて自信を持ってれば

全然いいんだけどね。

そこで動揺しちゃうんだよね。

まあ、動揺するよね。

藤堂「君 本当はお兄さんが大嫌いだろ?」

雪男「・・・貴様のペースには乗らない」

藤堂「へーそれで冷静なつもりかぁ」

  「君 そうやって自分自身から目を背けてきたんだね」

第8巻 第29話「結界呪」より。

藤堂鋭いな。

似てるってだけあって、営業スマイルにはだまされないかー。

雪男「僕は」

  「小さい頃兄さんに憧れてた」

  「だけど憧れるのと同時に本当は

   ずっと

   ずっと

   ずっと

   ずっと

   くやしかったんだ」

(中略)

――シュラ『雪男 せめて自分には正直でいろよ』――

 雪男「僕は」

  「兄が好きだし嫌いだ!

   ・・・だがそれ以上に 弱くて小さい自分が大嫌いだった」

  「僕が本当に大嫌いなのは僕自身だ!!」

 

第8巻 第29話「結界呪」より。

少年漫画の、しかも主人公の仲間が、

こんなにハッキリ自己否定するのを

自分は初めて見た。

 

またそれが、自分が数年前まで思ってたこととほとんど同じで、

「うわぁ」ってなる。

自分も目を背けてきたのかなぁ。

おっと、これじゃ藤堂の思うつぼだ。

 

でも、雪男の悩んでる表情とか、

くやしい表情とかが、

冷静な表情より

なんだか人間らしくてひきこまれる。

藤堂「『僕は僕が嫌いだ』か・・・・・・

   ククク 青臭い自己否定だ

   その考え方には限界がある」

  「悪魔落ちへの第一歩だな」

第8巻 第32話「深淵」より。

自分は、雪男が悪魔落ちするかどうかはあんまり興味がない。

悪魔落ちするかどうかは途中経過で、

雪男が最終的に、この葛藤を乗り越えて、

少しでも生きやすくなったらいいと思っている。

 

ある意味、悪魔落ちして振り切れてしまった藤堂は、

幸せなのかもしれない。

(マネしたくはないけど)

このままの考え方だと

雪男は悪魔落ちしても辛いままだろうな。

 

自分が青の祓魔師で一番気になるのは、

雪男が悩みを乗り越えて

人生をちょっとでも楽しめるようになるのかどうかってこと。

 

 

残念ながら藤堂三郎太は、

雪男が正直になるのを見届ける前に

総帥ルシフェルの計画のために

第113話あたりで灰になってしまいました。

 

できれば、藤堂とは違う答えを出して

自由になった雪男を見届けてほしかったなぁ。

 

 

藤堂が活躍している巻はこちら!

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